天体観測
BUMP OF CHICKEN
トイズファクトリー
2001-03-14



【はじめに】 基本的に、ここで書くのは言葉的な解釈だけです。「曲のテーマ」とか「メッセージ」とかは聴いたひとそれぞれが感じるものなので、そのあたりの考察にまでは踏み込まないようにしたいかなと思います。


【大まかな意味】

午前二時に待ち合わせをして、望遠鏡を肩に担いで踏切まで行った。
ベルトにぶら下げた携帯ラジオの予報によると、雨は降らなさそうだ。

約束の時間より二分遅れてやってきた君は、
遠出でもするのかと思うような大きなリュックを背負っていた。
それじゃあこれから、夜空を見上げて彗星を探そう。

震える君の手を、握ってあげたいと思ったあの日。
僕も先の見えない恐怖に、飲みこまれないようにするだけで精一杯だった。

何かはわからない、でもどうしても見つけたいものがあった。
一心に望遠鏡で空を見つめた。
静まりかえった夜の世界に、僕らの歓声が何度も響いた。
次の日の予定とか、将来のこととかを、気にしなかったわけじゃないけれど。
僕らはそのかけがえのない時間を、二人で懸命になってつかもうとしていた。


自分はそうやって、いつでも何かの答えを探していることにふと気づく。
幸せって何なんだとか。悲しみはどこで処理すればいいのかとか。

きっと、生まれてから死ぬまでずっとその繰り返しなんだろう。
さあ今日も、天体観測を始めよう。夜空の彗星を探して。

探してようやく見つけたものは、ちゃんと全部覚えてる。
震える君に、結局何もしてあげられなかった、あの日の胸の痛みだって。

何かはわからない、でもどうしても知りたいものがあった。
一心に望遠鏡で空を見つめた。
僕らの不安や恐怖を取りのぞいてくれる光を、小さくてもいいから見つけたかった。
そうやって知ることのできた胸の痛みを、まだ僕は覚えてる。
そしてかけがえのない今の時間を、今でも一人でつかもうとしている。


大人になるにつれて、君に言いたいことも多くなった。
出せずじまいの手紙も、崩れるほど高く積み上がった。
僕は元気でいるし、何だかんだうまくやってるけど
ひとつだけ、今でも思い出すんだ。

予報では降らないはずの雨の中で、泣きそうになって震えている君の手を、
結局握れなかったあの日のことを。


君の苦しみを目の前にして、でも本当の意味では何もわかってあげられないまま、
ただ望遠鏡を担ぎ直して、
静まりかえった暗い夜道を走って帰った。
そうやって知ることのできた胸の痛みが、今でも僕を内側から支えて、
僕を倒れないようにしてくれている。
だからかけがえのない今の時間を、今でも一人で走ることができるんだ。

また君に会いたくて、前みたいに望遠鏡を肩に担いで、
午前二時の踏切まで走っていくよ。
あの日みたいに天体観測を始めよう。
もし二分後に君が来なくても、
僕らはかけがえのない今の時間を、ちゃんと一緒に走っているから。


【補足】
・実際の天体観測を歌っているという解釈と、人生を天体観測にたとえて歌っているという解釈の二通りができます。

※ 2018/02/05更新