【はじめに】 基本的に、ここで書くのは言葉的な解釈だけです。「曲のテーマ」とか「メッセージ」とかは聴いたひとそれぞれが感じるものなので、そのあたりの考察にまでは踏み込まないようにしたいかなと思います。

present from you
BUMP OF CHICKEN
TOY'S FACTORY Inc.(VAP)(M)
2008-06-18



【歌詞の大まかな意味】

ちょっときいてもいいですか。
この辺で誰かが泣いてるような気がして、急いで来てみたんだけど、
それが誰なのか知ってるかな。
そういえば君の目は、たった今まで泣いてたみたいに、すごく赤いけど…

だから、その…
そうだ。物語をいくつか君に贈るから、僕が戻るまでに読んでおくんだよ。
じゃあ、またあとで。

 

きっと君は、孤独な夜と、
ぬけがらになったみたいな朝を過ごしてさ。
汚いものは見ずに夢だけ見ていたいなんて思ってさ。
嘘をつく自分に呆れてしゃべることも嫌になって…

そうやって、君は誰も開けられない扉を作って、
自分の心を閉じ込めた。
兵器でもミサイルでも破れない心の壁を築いて、
まわりの人を拒んだ。
ずっとひとりぼっちでいようって。
なのに君はずっと待っていた。
その扉をノックして、誰かが訪ねてきてくれることを…

だから、その、何が言いたいかっていうと…
君は今も孤独に震えながら、笑いたくても出てくるのは涙ばかりで、
心の中で悲鳴をあげてる。
だけど、そうやって生きるのが正しいんだよ。

別に変わらなくたっていい、今のままでいい。
勇気とか、元気とか、そんなのなくたって生きていける。
むしろそういうのがあるほうが、面倒に巻き込まれることが多くなるし。
だけどね。
君は自分の心に、ちゃんと扉を作ったじゃない。
壁で囲むだけで良かったのにさ。
誰かが入ってこれるように、ちゃんと、扉を作ったじゃない。
何もかも大嫌いだって言いながら。本当は、全然そんなことない…

だから、その、何が言いたいかっていうと…
君はまだ、自分をきちんと知ってないだけなんだってこと。
君だけじゃなくて、みんなそう。
自分の心を見つめるなんて、恥ずかしいけど、でも逃げようもなくて。
面倒だし、でも誰かに頼むわけにもいかなくて。
もちろん僕だって。偉そうに言ってる僕だって同じでさ…

それは、ともかくとして。

もう、ひとりぼっちだなんて思わなくていいんだよ。
僕があげた物語の登場人物たちが味方についてくれるから。
君がこれから何をするかは自由だけど…僕はもう行かなきゃいけない。
だってほら、また誰かがどこかで泣いてるから。

 

【補足】
◆曲が切り分けられた経緯について
バンプの二枚目のアルバム「THE LIVING DEAD」(この曲の8年前に発表)に、冒頭と最後の部分が「Opening」「Ending」という短い曲に分割され、ほかの収録曲をはさむ形で収録されました。そのときの経緯がSCHOOL OF LOCK! で藤原さんによって説明されています。

「まずプレゼントって曲ができたんだけど、アルバムのオープニングとエンディングの意味を果たして欲しいから、これじゃあ長すぎるって、冒頭と最後の部分を使ったわけです。そのときのノートが残ってたんですけど、『K』とか『リリィ』とかも、同じノートに書かれてましたね。9年前に書いた曲なんですけど、一度僕は3人に言ったんですよ。あの『Opening』と『Ending』は実は1曲になるから、ライブで演りたいんだって。」
(https://www.tfm.co.jp/lock/bump/present/index.html)

 
◆曲の中の「プレゼント」について
アルバムの中では、この曲に登場する人物がくれるプレゼントは、『K』などをはじめとする物語仕立ての収録曲でした。しかしこの曲の完全版では、「プレゼント」の内容がはっきりとは示されておらず、ただ「いくつかの物語」とあるだけです。未発表だった中間部分はあくまで「君」のことを歌ったもので、物語とは言えません。

曲の冒頭で「ちゃんと 読んでおく事 いいね それじゃ また後で」と去っておきながら、その物語の内容がわからないまま、最後の「少なくとも 君には味方がいるよ プレゼントの物語の中の住人達」に到着してしまいます。

アルバムとは異なり、プレゼントを渡した人物は結局は戻らず、遠くから「君」にささやきつつ次の旅に出てしまったのかもしれません。あるいは「また後で」と言いながら、「君」が物語を読むあいだずっと背中合わせに座っていたのかもしれません。もしくは、「それじゃ また後で」から次のフレーズまでに実は長い時間が経過していると考えることもできるでしょう。

※ 2018/03/19更新