【はじめに】 基本的に、ここで書くのは言葉的な解釈だけです。「曲のテーマ」とか「メッセージ」とかは聴いたひとそれぞれが感じるものなので、そのあたりの考察にまでは踏み込まないようにしたいかなと思います。

車輪の唄
BUMP OF CHICKEN
トイズファクトリー
2004-12-01



【歌詞の大まかな意味】

僕と君が乗った自転車は、
古びたタイヤをギシギシ鳴らせながら、
こんな朝早くから、駅に向かって走っていく。

ペダルを漕いでいる僕の背中に、
君がもたれかかっている。
その体温もしっかり感じ取れるくらいに。

線路に沿った上り坂は苦しくて、息が切れる。
もうちょっとだよ、あと少しだよと、
君の楽しそうな声が後ろから聞こえる。

早朝の町は誰の姿もなく、静まり返っていて、
まるで世界で二人だけになったみたいだねと、
僕は小さくつぶやいた。

交わしていた言葉が、同時にぷっつり途絶えたのは、
やっと上りついた坂の頂上で、
あまりに美しい空が僕らの目の前に広がったからだ。

僕の後ろで、あのとき君は笑ったでしょ。
でも僕は、君の笑顔を振り返って見ることができなかった。
泣いてる顔を見られたくなかったから。

 

券売機で買える一番高い切符で、
君は僕の知らない町へ行ってしまう。
僕が買えるのは、券売機の中で一番安い、改札の入場券。
どうせすぐ使わなきゃいけないのに、
それを何か大事なものみたいに、僕はそっとしまいこんだ。

急に決まった出発に、
つい二日前に用意したばかりの大きなカバンが、
改札に引っかかって君を引きとめた。

僕は顔を伏せたまま、ただ君の視線にうなずいて、
まるで君の心をあらわすかのような、
頑固にからまったカバンのひもを淡々と引き離した。

出発のベルが鳴って、僕らの別れの時が来たと告げる。
君だけが乗る電車のドアがあく。
乗れば最後、僕らの間を一気に引き裂くことになるその一歩を、
ついに君は踏み出して言った。

約束だよ、いつかまた会おうね、って。
でも僕は返事ができなくて、
やっぱりうつむいたまま、ただ手を小さく振るだけだった。

 

きっと勘違いなんかじゃない。
電車に乗る時、君は絶対…

 

もう間に合わないと思ったけど、
線路に沿った坂道を、さっきとは逆方向に自転車を飛ばした。
どうか君に追いついてくれと願いながら。
古びたタイヤがきしみつつ、それに応えて、
電車に一瞬追いついたように思えたけれど、
それもつかの間、ゆっくりと電車は離れて行く。

君は絶対、泣いてたよね。
電車に乗ったとき、ドアの向こう側に立って。
僕がうつむいてるから、わからないと思ったでしょ。
でも、君は声が震えるのを隠しきれてなかったよ。

約束だ、いつかまた会おう、って、
僕は電車に乗って去っていく君にもきっと見えるように、
大きく手を振りつづけた。

 

目覚め始めた町には人通りも多くなったのに、
まるで世界に自分一人だけになったみたいだと、
僕は小さくつぶやいた。

タイヤをギシギシ鳴らせる自転車に乗って、
一人になった僕は、
どこへともなく走っていく。
背中に、君の温もりをまだかすかに感じながら。