【はじめに】 基本的に、ここで書くのは言葉的な解釈だけです。「曲のテーマ」とか「メッセージ」とかは聴いたひとそれぞれが感じるものなので、そのあたりの考察にまでは踏み込まないようにしたいかなと思います。

orbital period
BUMP OF CHICKEN
TOY'S FACTORY Inc.(VAP)(M)
2007-12-19



【歌詞の大まかな意味】

昔は自信満々に特技だと思っていたことを、
今では覚えてすらいないのは、
自分よりそれが上手な人間なんかいくらでもいることを知ったからだ。

自分がこの世界の中で、いかにちっぽけな存在か、
そんなのとっくにわかってる。
だからこんな自分一人、
何もしなくたって何も変わりはしないでしょ?

ありふれた人生、それなのにとっても難しい人生、
誰の目も届かない、地球の端っこで続く人生。
応援なんかあるわけない、注目の的になることなんかもっとない、
誰のためでもない人生。

そんな中、気づくと口からこぼれ出ていた声。
わずかに空気を震わせただけの、小さな声。
それは誰に聞かせるわけでもなく、ただ自分一人だけに聞こえた、
ささやかな歌声だった。

 

かなえたいと強く思った夢さえ、
今では記憶から消し去りたいと思うのは、
そんなもので食ってはいけないと気づいたからだ。

あなたにとってはこんな自分なんか、
大勢の人間の中の一人でしかないことくらい、
嫌になるほどはっきりわかってた。
だから自分一人、この世から消えたところで、
あなたにはどうでもいいことでしょ?

昔はあんなに好きだったミュージシャン。
その新曲も今ではただの暇つぶし。
人気出てきてからは何だか興味なくなっちゃったなあ。
歌ってる内容も、現実離れしたお上品なただの理想。
何でこんなバカバカしい歌を信じてたのかなあ。
もういっそのこと死にたいよ。
死にたいだけで、死にはしないけど。

そんな君の口からあふれた声。
わずかに君の体を温めた声。
それは口から耳までの、ほんのちょっとの距離を進むだけの歌声だ。

 

あいつは周りの期待を背負う超天才、
そんな人間が「頑張れ」だの言ってきやがる、
こっちがさぼってるように見えたかよ、
さぼってるように見えたかって聞いたら「うん」って言うのかよ。
いっそのこと死にたいよ。
でもこんな自分でも生きてたいんだよ。

自分は世界のために存在してるんじゃないんだ。
ほかの誰かのために生きてるんじゃないんだ。
昔は自分の価値を信じていたんだ。
かなえたい強い思いがあったんだ。

そうだ、本当は、
自分のために誰かが歌ってくれる歌なんかないことは、
最初っからわかりきったことだった。

でも、そんなのどうだっていいことだ。

 

気づくと口からこぼれ出ていた歌がある。
押さえようもなくあふれ出てきた歌がある。
自分の口から、ただ自分の耳だけをめざす、
愛しいくらいに、けなげな歌がある。

僕は僕のために歌うんだ。
君も君のために歌えるんだ。
その小さな声はいつかきっと、大きな歌声になって、
やがて君だけの歌になる。
君だけのための、
この世でたったひとつの歌になる。