【はじめに】 基本的に、ここで書くのは言葉的な解釈だけです。「曲のテーマ」とか「メッセージ」とかは聴いたひとそれぞれが感じるものなので、そのあたりの考察にまでは踏み込まないようにしたいかなと思います。

ゼロ(通常盤)
BUMP OF CHICKEN
トイズファクトリー
2011-10-19



【歌詞の大まかな意味】

“目指していた場所へたどりつき、
さまようことを終えた彼らに歌を捧げよう。
彼らは暗がりの中の火のように、
あとからやってくる者たちを導いてくれるだろう。”

 

目が夜空と同じ色をしているのは、
あの透きとおった空と同じ黒い色をしているのは、
見失ってしまった心のよりどころを、
必死でその広い空間の中に探そうとしてきたからだ。

いつの間にか与えられていた「こうやって生きろ」という指示は、
あまりに正確で文句のつけようがなくて、
行きつく先もわからないのに、ただそれに従って生きつづける。
こんなめまぐるしい世界でも、お互いを見失わないように、
この世でたったひとつの
あなたの名前を教えてほしい。

最後の瞬間まであなたと共にいたいということだけが、
揺れることのない唯一の感情だ。
あなたのそばでしか生きてはいけないから、
何を失ってもこの居場所だけは捨てたりしない。
虹の始まる地の果てに行こう、希望が生まれる場所に行こう。
そうして二人だけの世界を見つけるんだ。

 

考えることをやめて、感じることを放棄して、
そうやって楽になろうとした。
そしたら自分の奥の本音の部分に、
もっと強くなるからと、私から離れないでほしいと、
逆に引きとめられることになった。

「正義」や「正解」からはどうあがいても逃げられなくて、
それは体の奥深くまで自分たちを責めてくる。
自由などない人間は、ただ地面に這いつくばって進むだけ。
だけど選択肢のない道の上でも、
あなたという希望を見つけることができた。
この手は離さずに、あなたとどこまでも共に行きたい。

恐怖にとらわれたら、我慢せずに声をあげてほしい。
そうすれば、あなたがすぐ近くにいることを確かめられるから。
怖いと思う気持ちを一緒に持てば、
自分は孤独じゃないんだと確かめられるから。
昔の自分には戻れないなんて、どうか嘆かないで。
あなたは昔のあなたと同じ体で生きている。
だから何も変わってなんかいない。

 

永遠に一緒にいようなんて誓った瞬間に、
別れが訪れるような気がしてならないんだ。
だからただ、あなたの存在を、その名前だけを、
いつまでだって呼びつづけたい。
運命に二人が引き裂かれることのないように…

 

こんなに広い世界で、あなたは自分を選んでくれた。
何回でも何回でも、あなたの名前を聞かせてほしい。
この世でたったひとつの名前を。

最期の瞬間まであなたと共にいたい、
それだけが間違いのない感情なんだ。
あなたの隣でしか生きてはいけないから、
この居場所は何を失うことになっても捨てたりしない。

恐怖にとらわれたら声をあげて。
たとえあなたを見失っても、それですぐそばにいることに気づけるから。
最後まであなたと共に行きたい、
今はもう、それだけの思いで進んでいる。

虹を追って世界の裏側まで行こう。
どうか、いつまでも離れずにいてほしい。
無理に笑う必要なんかもうない。
二人だけの世界にたどり着ければ、
そこではきっと、
ありのままのあなたでいられると思うから。

 

“さまようことを終えた彼らに歌を捧げよう。
彼らはその場所であかあかと輝き、
あとから来る者たちの目印になるだろう。
新しい虹となって導いてくれるだろう。”

 

【補足】
◆「そこで炎になるのだろう 続く者の灯火に」について
『ファイナルファンタジー零式』の主題歌となった曲であり、その背景には『零式』の設定イメージもいくらか取り入れられているようです。ナタリーのインタビューで、藤原さんは以下のように語っています。

「まず、ミーティングのときに見せていただいたイラストのイメージがとても大きかったと思います。それは『零式』のキャラクターが一堂に会しているものなんですけど。あとはもう、作曲用に録ってもらったスタジオのブースに入って、イラストのイメージと自分がミュージシャンとして、BUMP OF CHICKENとして表現したいことを曲にしていくといういつもと同じ流れでしたね。」
(https://natalie.mu/music/pp/bumpofchicken06/page/2)

これについてはさらに深く、

藤原 最初にいただいた「零式」の設定資料に十数人の主要キャラクターが描かれていて。そのバックの背景は赤黒い感じで、あれは燃えているんだと思うんですけど。

──戦火ですか?

藤原 うん、戦火だと思います。そこに十数人のキャラクターがそれぞれ武器を持っていて。戦いを予感させるようなイラストですね。その記憶が曲の全体像に作用しているのかなと思うんですけど。

とも語っていて、「そこで炎になるのだろう 続く者の灯火に」という歌詞はこのイラストの影響が強いと思われます。

※ 2018/03/22更新