【はじめに】 基本的に、ここで書くのは言葉的な解釈だけです。「曲のテーマ」とか「メッセージ」とかは聴いたひとそれぞれが感じるものなので、そのあたりの考察にまでは踏み込まないようにしたいかなと思います。

涙のふるさと
BUMP OF CHICKEN
トイズファクトリー
2006-11-22



【歌詞の大まかな意味】

悩みを聞いてあげたとしても、所詮は他人だから
それを完全に理解してあげることはできない。
だから、知っておくことだけはしたいと思う。
理解できなくても聞いておきたいと思う。

あの人の苦しみはあの人にしかわからない。
苦しみを分かち合うことなんかできるわけない。
それでも力になりたい。
そう思って苦しむこっちの悩みも、相手には伝わらない、こっちだけのもの。

もしも二人が同じひとつの存在だったら、同じ悩みや苦しみを分かち合えたのに。
ずっと一緒なんだから、別れることだって絶対にないのに。

少しでも理解し合いたくて、伝えたくて、
僕はとにかく言葉をたくさん使いこなそうと努力した。
なのに、君はたった一度笑っただけで、
僕に言葉以上のことを伝えてくれた。

 

知識と経験が増えるにつれて、自分を恥ずかしく思うことが多くなった。
いつまでも子どもでいたくないからって、大人ぶって背伸びをする。
そんなの本当に子どもじみているのにね。

それでも夕焼け空をきれいだと思う純粋な気持ちは、
どうか押し殺したりしないでほしい。
そんな気持ちを子どもっぽく話すことを、
いけないことだと思わないでほしい。

自分を外側から見るもうひとりの自分がいたから、
自分の姿が他人にどう映るかわかって不安になった。
だけどそのもうひとりの自分がいるから、
大切なものを二人分で強く見つめることもできるんだ。

大人ぶった理屈に頼るばかりで、いつか僕の心は冷めてしまっていた。
なのに、君はたった一度笑っただけで、
こんなに僕を熱くしてくれた。

 

僕らが別々の存在でよかった。
だってもしも同じひとつの存在だったら、二人が出会うことはなかったから。

こうして歌っているのは聞かせたい人がいるから。
だけど聞こえているかどうかはわからない。
だから歌いつづけることだけはしたい。
でも歌いつづけて何になるのかな…

僕が一人で見た真っ赤な夕焼け空を、君もどこか別の場所で見ていただろうか?
その空に、僕は君の笑顔を、重ねるように思い浮かべていた。

思ってもみなかった。たった一度の笑顔に、こんなに勇気をもらえるなんて。
ここまで泣きそうになるなんて。

 

【補足】
・作詞の藤原さんがスランプに陥った時、真っ赤な夕焼けに感動して即座に書き上げた曲とのこと。空が真っ赤に燃えるのは夏の夕方であることが多いです。

※ 2018/02/05更新